融資制度について

日本政策金融公庫の創業融資制度について

創業時に必要なお金はどこから借りられるのか?
主な資金調達の手段は以下のとおりであり、この中だと創業時であれば日本政策金融公庫から借りるのがほかの資金調達の手段に比べて利用される方が多く、安定した調達方法となります。

  1. ①日本政策金融公庫
  2. ②金融機関(信用保証協会付)
  3. ③親族

今回は、①の日本政策金融公庫に申し込むケースについて解説いたします。

❶ 日本政策金融公庫の新創業融資制度とは

新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方で融資を受ける際には、通常の融資と比べて以下の内容が優遇されています。

【無担保・無保証融資】
原則として無担保・無保証人で各種融資制度をご利用いただけます。
【利率を一律0.65%引下げ】
原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引下げとなります。
【長期で返済可能】
設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は原則10年以内(うち据置期間5年以内)と長期でご返済いただけます。

❷ 融資の内容

新たに事業を始める方又は事業開始後税務申告を2期終えていない方向けの融資として2024年4月1日以後に行われるものは以下の制度が適用されます。

【自己資金要件の撤廃】
これまでは創業時において、創業資金総額の10分の1以上の自己資金があることが条件でしたが、この条件は撤廃されました。つまり、自己資金がなくても融資の申し込みができるようになりました。
※創業資金総額とは、創業時に使用する予定の資金総額のことです。
【融資限度額、返済期間、据置期間の変更点】
(1)融資限度額は3000万円から2倍超の7200万円に拡大しました。
(2)事業の運転資金の返済期間は7年以内としていたが、10年以内となりました。
(3)元金の返済が猶予され、利息だけを払い込む据置期間については、最大2年から5年に延長されたことにより、柔軟な資金繰りが可能となりました。

【出典:https://www.jfc.go.jp/n/release/pdf/topics_240401b.pdf】

❸ 融資審査のポイント

【自己資金要件】
2024年3月までは自己資金を創業資金総額の10分の1以上必要としていましたが、2024年4月以降はその要件が撤廃されました。
ただし、審査の際には預金通帳などの自己資金の証拠書類を提示することになるため、まったく自己資金がないというのも融資担当者からは事業の計画性がないと判断される可能性があります。
そのため、自己資金を多く確保するというのは審査において引き続き重要な要素になります。
【信用情報】
クレジットカードやローン、税金や公共料金の滞納などが過去にあった場合は、返済能力に問題があるとみなされ、審査に落ちることがあります。
少なくとも、融資を受けようとする直近半年間は、支払期日を守るようにしましょう。
【業界経験】

新創業融資制度の該当条件、「雇用創出等の要件」には、以下のような記載があります。現在、お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方

(1)現在の企業に継続して6年以上お勤めの方

(2)現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方

大学等で習得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方、これ以外の「雇用創出等の要件」のいずれかに該当していれば問題ありませんが、事業経験の有無は、事業拡大が成功する根拠としては非常に大きい要素です。そのため、未経験の業界で創業される方は、創業計画書を作り込み、事業の実現可能性を伝えていくことが重要です。

❹ まとめ

新創業融資制度は2024年4月から、融資限度の枠が大きくなり、また据置期間も延長されました。
これから事業を始めようとされている方や創業して間もない方にとっては無担保、無保証人と、破格の待遇で利用できる融資制度ですが、その分、審査のために必要な提出資料も多く、簡単に受けられる融資というわけではありません。融資を受けるために重要なのは、「事前にどれだけ準備できるか」にかかっています。
融資制度の内容や条件を把握し、審査を有利に進められるようにしていきましょう。

■ この記事の監修者
マケットコンサルティング株式会社 代表取締役 / 税理士
伊東 祐生(いとう ゆうき)

2019年に起業し、自身も創業フェーズにおいてグループ全体で5000万円超の融資調達に成功する。これまでの創業融資サポートの成功率は90%を超え、数多くのスタートアップ支援を行っている。

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■ この記事の監修者
マケットコンサルティング株式会社 代表取締役 / 税理士
伊東 祐生(いとう ゆうき)

2019年に起業し、自身も創業フェーズにおいてグループ全体で5000万円超の融資調達に成功する。これまでの創業融資サポートの成功率は90%を超え、数多くのスタートアップ支援を行っている。

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