【創業融資の審査で見られる】最も重要な「お金の流れ」キャッシュフローを理解する

創業融資を受ける際に、最も重要視されるのは「貸したお金が返済できるかどうか」という点です。
融資をする側としては、当然、借りたお金がきちんと返済されることを保証してほしいというのが本音です。
このため、融資審査では、返済能力が十分にあるかどうかを慎重にチェックします。
そして、返済能力を判断する上で、特に重視されるのが「キャッシュフロー」です。
今回は、キャッシュフローの意味や重要視される理由などキャッシュフローの持つ影響力について解説いたします。
1.創業融資とは?その目的と基本的な仕組み
起業を考える多くの人が直面する課題のひとつが「資金調達の手段」です。
その中でも代表的なのが「創業融資」。これは、創業直後の企業が運転資金や設備資金などを確保するために、金融機関から借り入れる制度です。
特に、日本政策金融公庫のような公的機関による創業者向け融資制度は、自己資金が十分でない起業家でも利用しやすい点が特徴です。
無担保・無保証での借入が可能なケースもあり、事業を立ち上げる際の大きな支援となります。
創業融資の主な目的は、開業時の初期費用をカバーし、事業を安定してスタートさせること。
そのため、融資申請時には「創業計画書」や「収支見込み表」といった資料が必要となり、計画の実現性や返済能力が審査されます。
このプロセスを通じて、事業計画が具体化されるため、金融機関からの信頼を得やすくなるのも大きなメリットとなります。
創業融資は、単なる資金調達手段ではなく、事業の成功に向けた土台づくりとしても重要です。
2.キャッシュフローとは何か?黒字倒産との関係
キャッシュフローとは、企業の「お金の流れ」を表す指標です。
具体的には、売上として入ってくる現金と、支払いとして出ていく現金の差額を示します。
帳簿上の利益と異なり、実際に企業が手元に持っている現金の動きを把握するために欠かせない指標です。
特に注意したいのが、「黒字倒産」という現象です。
これは、損益計算書上では利益が出ているにもかかわらず、実際には現金が足りなくなって倒産してしまうケースです。
売上があっても回収が遅れたり、支払いが先行したりすると、手元資金がショートして経営に行き詰まります。
つまり、企業経営においては「利益が出ているかどうか」だけでなく、「キャッシュが回っているかどうか」が極めて重要です。
創業期は特にキャッシュフローが不安定になりやすいため、資金の流れをしっかり管理することが事業の存続につながります。
3.キャッシュフローがマイナスになるとどうなる?
キャッシュフローがマイナス、つまり「支出が収入を上回っている状態」が続くと、企業は深刻な経営リスクに直面します。
特に創業期のように資金の余裕が少ない段階では、このマイナスが致命的な打撃となる可能性があります。
まず第一に、手元資金が不足すると、仕入れや人件費の支払いが滞り、日々の業務に支障が出てきます。
さらに、創業融資などの返済が予定通りに行えなくなると、金融機関からの信用も低下します。
これにより追加融資を受けにくくなり、資金繰りがさらに厳しくなるという悪循環に陥ります。
また、支払い遅延が続くと取引先からの信頼も失われ、ビジネスチャンスの損失や契約解除につながることもあります。
たとえ利益が出ていても、キャッシュが回らない状態では、事業の継続は難しくなります。
そのため、キャッシュフローがマイナスにならないようにすること、あるいは一時的にマイナスになった場合でも早急に立て直す対策が必要不可欠です。
4.創業融資を受ける際にキャッシュフローが重視される理由
創業融資を申し込む際、金融機関が特に注目するのが「キャッシュフロー計画」です。
なぜなら、融資を行う側としては「貸したお金が確実に返ってくるかどうか」を最も重視しているからです。
具体的には、事業計画書や収支見込みに基づいて、月ごとの収入と支出のバランスが適切か、返済に充てられる資金が確保されているかをチェックされます。
たとえ売上見込みが高くても、入金のタイミングやコストの支払いがうまくコントロールされていなければ、融資の審査には通りにくくなります。
また、キャッシュフローの計画が明確であればあるほど、金融機関は事業の安定性と成長性を評価しやすくなり、融資の可能性が高まります。
逆に、キャッシュフローが見通せない事業には、貸し倒れリスクがあると判断され、融資が難しくなる傾向にあります。
このように、創業融資を成功させるためには、売上や利益の予測だけでなく、「いつ、どれだけ現金が動くのか」というキャッシュフローの視点が不可欠なのです。
5.キャッシュフロー改善のためにできること
キャッシュフローを健全に保つことは、創業時に限らず事業を継続していくうえで欠かせません。
特に創業期は収支が不安定になりやすいため、積極的にキャッシュフローを改善する取り組みが必要です。
✔入金サイクルの見直し
まず取り組むべきは、売上の回収サイクルの見直しです。売掛金の回収期間を短くすることで、入金を早めることができ、手元資金の確保につながります。
✔支払サイクルの見直し
次に、支出の最適化も重要です。無駄な経費を見直し、優先順位をつけて予算配分することで、支出のコントロールがしやすくなります。
支払いサイクルを延ばすことができれば、キャッシュアウトのタイミングを後ろ倒しにできます。
✔資金繰り表の活用など
また、「資金繰り表」を作成・活用することも効果的です。
月ごとの現金収支を見える化することで、将来的な資金不足を早期に察知し、対策を立てることができます。
さらに、金融機関とのコミュニケーションも大切です。状況が厳しいときほど、早めに相談することで、返済猶予や追加融資など柔軟な対応を引き出せる可能性があります。
キャッシュフローを常に意識し、実践的な管理と改善を行うことで、創業期の不安定な資金状況を乗り越える力が養われます。
まとめ
創業時の資金調達手段として多くの起業家が利用する「創業融資」は、事業を円滑にスタートさせるための大きな助けとなります。
しかし、融資を受けたからといって経営が安定するわけではなく、その後のキャッシュフロー管理が極めて重要です。
キャッシュフローは、企業にとっての「お金の健康状態」を示す重要な指標です。
たとえ帳簿上で利益が出ていても、現金が足りなければ支払いができず、最悪の場合は「黒字倒産」に至ることもあります。
特に創業融資を受ける際には、キャッシュフロー計画が審査の大きなポイントとなります。
金融機関は、返済能力を重視しているため、現金の流れが明確であることが求められます。
売上の予測だけでなく、「いつ、どれだけの現金が入り、何に出ていくのか」を示すことが、融資の可否を左右します。
キャッシュフローの改善には、売上回収の早期化、支出管理の徹底、資金繰り表の活用、そして金融機関とのこまめなコミュニケーションが効果的です。
これらを実践することで、創業期の不安定な資金状況を乗り越え、持続的な成長を実現できます。
創業融資の成功は、単なる借入ではなく、「キャッシュフローを見据えた経営」ができるかどうかにかかっています。
資金の流れを正しく把握し、先を見通した経営を心がけましょう。
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- ■ この記事の監修者
- マケットコンサルティング株式会社 代表取締役 / 税理士
- 伊東 祐生(いとう ゆうき)
2019年に起業し、自身も創業フェーズにおいてグループ全体で5000万円超の融資調達に成功する。これまでの創業融資サポートの成功率は90%を超え、数多くのスタートアップ支援を行っている。

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