日本政策金融公庫が融資審査で見るポイント

日本政策金融公庫の創業融資の審査を受ける上で、どのような経営者・会社が評価されるのでしょうか。
創業時の資金調達において、日本政策金融公庫は「返済可能性」と「事業の将来性」を総合的に判断します。
その際に注目されるのが ヒト(経営者)・モノ(製品/サービス)・カネ(計画) の3つの要素です。
今回は、それぞれの要素を解説いたします。
①ヒト(経営者)
小規模企業では、事業の成否は経営者自身の資質に左右されることが多く、金融機関もここを最重視します。
ポイントは以下の5点です。
1. 信頼性
審査担当者は「この経営者は正直に報告をする人か」「不利なことも隠さず伝える人か」を重視します。
信頼関係を築けるかどうかは、融資可否を大きく分けるポイントです。
過去の勤務態度や取引履歴から誠実さがにじみ出るケースもあり、数字より人柄が判断材料になることもあります。
2. 謙虚さ
融資後、経営者が外部の助言やサポートを受け入れる柔軟性を持っているかは、事業の持続性に直結します。
税理士・社労士・金融機関担当者のアドバイスを聞く姿勢がある人は、経営上のリスクを早期に回避できるため評価が高くなります。
3. 決断力
経営はスピード勝負の場面が多くあります。
例えば仕入先の変更や新規顧客との契約など、タイミングを逃すと大きな機会損失につながります。
審査担当者は「考え込んで行動が遅れるタイプ」より「情報を収集し、リスクを踏まえて決断できるタイプ」を好みます。
4. 責任感
事業は必ずしも順調に進むとは限りません。
その際に「景気のせい」「人手不足のせい」と責任を外に押し付ける経営者は信頼を失います。
逆に、失敗を自分の課題として受け止め、改善策を考えられる経営者は、長期的に成長できると判断されます。
5. 計数観念
決算書や試算表の数字を、経営者自身が理解し、自分の言葉で説明できるかは大きなポイントです。
たとえば「今期の利益率が下がったのは広告宣伝費を先行投資したため」「来期は受注が増えるため売上が伸びる見込み」といった説明ができれば、審査担当者は安心します。
数字を理解していない経営者は、資金ショートの危険が高いと見なされます。
②モノ(製品・サービス)
決算書や試算表に直接は現れにくい部分ですが、事業の継続性や成長性を示す上で重要な要素です。
1. 製品・商品力
扱っている製品やサービスが「市場で求められているか」「十分な価格で売れる価値を持っているか」が問われます。
単なる流行りの商品ではなく、安定した需要があるか、顧客に支持され続けるかが重要です。
具体的には「地域のニーズに根差しているか」「価格に見合った品質を維持できるか」が評価の基準となります。
2. 技術力
他社と比較したときに、どのような優位性があるのかがポイントです。
製造業であれば独自の加工技術、飲食業であれば他にないレシピや提供方法、IT業であれば独自システムの開発力などが該当します。
技術やノウハウが模倣困難であるほど、金融機関は「競争に勝ち残れる」と判断します。
3. サービス
顧客に提供できる「付加価値」があるかどうかです。
価格を下げて競争するだけでは長続きしません。
例えば「アフターサポートの充実」「相談体制の整備」「顧客の声を反映した改善スピード」など、顧客がリピートする理由があるサービスは、審査担当者にとって高評価材料となります。
4. 販路
販売先の確保は、売上の安定性に直結します。
「すでにどのような販路を持っているか」「今後どのように開拓するか」を明確に説明できる必要があります。
たとえば「取引先との契約実績」「展示会での受注」「ECサイトの立ち上げ計画」などが具体例です。
販路が複数に分散されていれば、リスク耐性が高いと評価されます。
③カネ(収支計画・資金計画の内容)
最終的に金融機関が重視するのは、「返済可能性」です。
その判断材料となるのが、創業計画書に示される収支計画と資金計画です。
創業計画書を作成する上で重要な点は以下の通りです。
1.売上予測の根拠
「経験上このくらい売れるはず」ではなく、具体的な客単価×客数や、見込み契約・市場データを根拠にすることが大切です。
2.費用の見積もり
甘い見積もりは危険です。
家賃・人件費・仕入・広告宣伝費など、必要経費を現実的に積算することが求められます。
3.運転資金の確保
開業直後は赤字が続くケースが多いため、数か月間の運転資金を計画に織り込む必要があります。
金融機関は「余裕を持って返済できるか」を見ています。
開業後、概ね半年間分の資金計画があると、必要な運転資金の目安がわかってきます。
4.自己資金の割合
全額を借入に頼るのではなく、自らもリスクを負担しているかどうか。
自己資金の有無は経営者の覚悟を測る材料になります。
まとめ
金融機関が融資審査で重視するのは「この経営者なら、きちんと事業を継続し、借入を返済できるか」という一点に尽きます。
その評価は ヒト・モノ・カネ の3要素に表れます。
創業者は、計画書の数字だけでなく、事業への姿勢や考え方も含めて伝えることが、融資獲得の大きなポイントとなるのです。
- ■ この記事の監修者
- マケットコンサルティング株式会社 代表取締役 / 税理士
- 伊東 祐生(いとう ゆうき)
2019年に起業し、自身も創業フェーズにおいてグループ全体で5000万円超の融資調達に成功する。これまでの創業融資サポートの成功率は90%を超え、数多くのスタートアップ支援を行っている。

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- マケットコンサルティング株式会社 代表取締役 / 税理士
- 伊東 祐生(いとう ゆうき)
2019年に起業し、自身も創業フェーズにおいてグループ全体で5000万円超の融資調達に成功する。これまでの創業融資サポートの成功率は90%を超え、数多くのスタートアップ支援を行っている。
