日本政策金融公庫の創業融資成功のポイント
新たに事業を始める際には、多くの資金が必要になります。そこで創業時の資金調達先として代表的なのが日本政策金融公庫の創業融資制度があります。無担保・無保証・低金利の創業者向けの融資制度が設けられており、創業準備を行う全国の起業家の大部分が活用されています。ここでは、日本政策金融公庫の創業融資を成功させるポイントについて解説します。
❶ 融資の面談前にできること
1-1 信用情報を確認する
公共料金やローンや税金の支払が未払であったり、支払が遅れていたりすると、自身の信用情報が悪化し、融資を受けられない原因になります。少なくとも融資を受けようとする直近半年間は、期日と定められた支払額を守るようにしましょう。なお、自身の信用情報はCIC(指定信用情報機関)というサイトで確認することができます。
1-2 自己資金を用意する
日本政策金融公庫においては、2024年3月31日までの新創業者向け融資の条件の一つとして「創業時において創業資金総額※の10分の1以上の自己資金があること」が求められていました。
なお、2024年4月1日以降新たに事業を始める方、又は事業開始後税務申告を2期終えていない方の融資ではこの条件は撤廃されており、自己資金がなくても融資の申し込みはできるようになりました。
ただし、自己資金の条件が撤廃されたといっても自己資金がまったくないという方とある程度自己資金を確保している方では、審査担当者からは事業の計画性に大きく差があるように見えてしまいます。
そのため、コツコツと自己資金を準備していく必要があります。
1-3 創業計画書を作成する
創業計画書とは、事業を始めるにあたってその事業の概略や資金調達の方法、事業の見通しなどをまとめたものです。創業時の融資を申し込む際には、創業計画書を提出する必要があります。創業計画書は、日本政策金融公庫のホームページ上で公開されているテンプレートを用いて作成・提出することができます。
創業計画書には以下の内容を記載していきます。
- ①創業の動機や経営者の略歴等
- ②商品やサービス、取引先等
- ③どのように資金を調達して事業を始めるか
- ④直近の売上をどのようにたてるか具体的な計画
1-4 月別収支計画書を作成する
月別収支計画書とは、創業計画書と紐づけて作成・提出をする書類となり、実際に事業を開始した後の月ごとの収支計画を見通し、具体的にあらわしたものです。月別収支計画書は、日本政策金融公庫のホームページ上で公開されているテンプレートを用いて作成・提出することができます。
月別収支計画書には創業後に予測される以下の内容を記載していきます。
- ①売上高の見込や原価・経費の計画
- ②毎月の返済の見込額
- ③売上高、売上原価、経費の算出根拠
- ④売上高達成に向けた具体的な取組
❷ 面談時のポイント
2-1 必要書類を持参する
以下の書類の提示を求められるので持参する必要があります。
- ①身分証明書
- ②前職の源泉徴収票または前年の確定申告書
- ③自宅の公共料金の支払いをしている預金通帳または現金で支払っている場合には公共料金の領収書
- ④自己資金の根拠となる通帳の原本、通帳以外に資産がある場合にはそれを証明するもの
- ⑤借入金やローンがある場合には、支払明細または支払予定表
- ⑥不動産の契約をすでにしている場合には、その契約書と支払額が確認できるもの
- ⑦資格や許認可が必要な業種であるときは、その資格や許認可の原本
- ⑧売上高の根拠となる資料
2-2 面談時の注意点
日本政策金融公庫の面談は30分から1時間程度で行われます。
この面談における注意すべき点は以下の通りです。
- 1.主な質問事項は創業計画書の内容
- 多くは創業計画書の内容に関する質問がされるため、その基礎となる創業計画書をしっかりと作り、その内容を把握しておくことが重要です。
- 2.売上高の根拠、計画を明らかにする。
- 日本政策金融公庫の創業融資の審査を受ける際に、担当者は「経営者に数字を読む能力があるか」を見ています。売上高の根拠が不明瞭であったり、現実的ではない収支計画だとマイナス評価につながります。具体的な売上の計画に必要な要素は取引形態によって異なりますが、以下の要素をどのように算定しているのか、どのような根拠でその売上高の見通しが成り立つのかといったことを面談時に説明できるようにしておくことが重要です。
- <企業間取引いわゆるBtoB>
- 製造業や卸売業、ビジネス向けサービス業などの企業間取引(BtoB)なら1新規・既存の顧客別2製品・サービス別に分類して考える方法があります。
- <一般消費者向けの販売いわゆるBtoC>
- 消費者向けの小売業や飲食業、サービス業などの一般消費者向け販売(BtoC)なら1客数2客単価3集客方法に分類して考える方法があります。
- 3.事実ではないことやあやふやなことは話さない
- 金融機関は経営者の借入金や公共料金、税金の滞納、支払遅延の情報を取得することができます。そのため、事実と異なる内容を話すのは信用を失うことにつながりますので、事実に基づいた説明をしましょう。
❸ まとめ
ビジネスプランを立てるというのは事業計画の第一歩であり、創業計画書を作成するため、延いては創業融資を受けるために、次のステップに沿ってビジネスプランを立てていきましょう。
1.計画的な準備
自己資金の貯えや信用情報など融資を受ける半年以上前から意識して備えなければ、審査時にマイナスの評価をされることがあります。計画建てて準備することが重要です。
2.創業計画書等を作成するメリット
創業計画書や月別収支計画書を作成するのは、事業を成功に導くためにも必要であり次のメリットがあります。
- ①事業の内容や特徴を整理できる。
- ②事業の強み・弱みを理解できる。
- ③欠けていた視点に気づくことができる。
- ④関係者からの協力を得やすくなる。
- ⑤創業後に、見込み違いの点や修正すべき点にすぐきづくことができる。
日本政策金融公庫の創業融資面談を受ける際には、創業計画書の内容は必ず聞かれますので、経営者自身の言葉で回答できるようにしましょう。
- ■ この記事の監修者
- マケットコンサルティング株式会社 代表取締役 / 税理士
- 伊東 祐生(いとう ゆうき)
2019年に起業し、自身も創業フェーズにおいてグループ全体で5000万円超の融資調達に成功する。これまでの創業融資サポートの成功率は90%を超え、数多くのスタートアップ支援を行っている。
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- ■ この記事の監修者
- マケットコンサルティング株式会社 代表取締役 / 税理士
- 伊東 祐生(いとう ゆうき)
2019年に起業し、自身も創業フェーズにおいてグループ全体で5000万円超の融資調達に成功する。これまでの創業融資サポートの成功率は90%を超え、数多くのスタートアップ支援を行っている。