【北海道限定】中東情勢対策特別枠とは?売上5%減で利用できる新たな融資制度を解説
■【結論】売上高が前年同期比5%以上減少している事業者は対象となる可能性あり
中東情勢の影響による燃料油や原材料、石油関連製品などの供給制約や価格上昇により、資金繰りに影響を受けている北海道内の中小企業者等に向けて、新たな融資枠が創設されました。
北海道の「中東情勢対策特別枠」は、一定の売上減少または売上原価率の上昇が認められる事業者を対象とした制度融資です。
例えば、最近3か月の売上高等が前年同期と比べて5%以上減少している場合には、対象となる可能性があります。
融資利率は5年以内で年1.4%、融資期間は10年以内、据置期間は3年以内とされており、通常の保証料率から20%割引される点も大きな特徴です。
■北海道の「中東情勢対策特別枠」とは?
「中東情勢対策特別枠」は、中東情勢の影響に伴って生じた供給制約などにより、直接的または間接的な影響を受けている中小企業者等の資金繰りを支援するため、北海道が創設した融資枠です。
正式な貸付メニュー名は、北海道中小企業総合振興資金の「経営環境変化対応貸付[認定企業]イ-B」です。
北海道が金融機関に資金の一部を預けることにより、対象となる事業者は北海道が定める比較的低い利率で融資を受けられます。
なお、この制度は創業者専用の融資ではありません。中東情勢の影響を受け、売上高や売上原価率について一定の要件を満たす北海道内の中小企業者等が対象です。
■中東情勢対策特別枠の対象となる事業者
対象となるのは、中東情勢の影響に伴うガソリンなどの燃料油、ナフサその他の原材料または石油関連製品等の供給制約などにより、直接的または間接的な影響を受け、次のいずれかに該当する中小企業者等です。
①最近3か月の売上高等が5%以上減少している
最近3か月の売上高等が、前年同期と比べて5%以上減少している事業者です。
売上高が前年同期比5%以上減少していることが、今回の制度における代表的な対象要件となります。
②最近1か月と今後2か月の売上高等が10%以上減少する見込み
原則として、最近1か月の売上高等が前年同月と比べて10%以上減少し、かつ、その後2か月を含む3か月の売上高等が前年同期と比べて10%以上減少する見込みである事業者です。
すでに確定している実績だけでなく、今後の売上減少見込みによって対象となる可能性があります。
③最近3か月の売上原価率等が上昇している
最近3か月の売上原価率等が、前年同期と比べて増加している事業者です。
売上そのものが大きく減少していなくても、燃料費や仕入価格、原材料価格などの上昇によって利益が圧迫されている場合は、対象となる可能性があります。
④最近1か月と今後2か月の売上原価率等が上昇する見込み
原則として、最近1か月の売上原価率等が前年同月と比べて増加し、かつ、その後2か月を含む3か月の売上原価率等も前年同期と比べて増加する見込みである事業者です。
■中東情勢対策特別枠の融資条件
主な融資条件は、次のとおりです。
- 資金使途:運転資金
- 融資金額:1億円以内
- 融資期間:10年以内(うち据置3年以内)
- 短期資金:融資期間1年以内の利用も可能
- 融資利率:5年以内は年1.4%、10年以内は年1.6%
- 信用保証:北海道信用保証協会の保証付き
- 保証料率:経営状況に応じて年0.36%~1.52%
- 取扱期間:2026年7月6日から2027年1月5日まで
保証料率は、通常の保証料率から20%割引された料率となっています。
また、取扱期間中は融資利率の見直しを行わないこととされています。担保や償還方法については、取扱金融機関の定めによります。
■中東情勢対策特別枠を利用する3つのメリット
①売上高が5%減少している場合でも対象となる可能性がある
今回の制度では、最近3か月の売上高等が前年同期と比べて5%以上減少している場合に、対象となる可能性があります。
売上高が大幅に落ち込んでからではなく、比較的早い段階で資金繰り対策を検討できる点がメリットです。
②据置期間を3年以内で設定できる
融資期間は10年以内で、元金の返済を猶予する据置期間を3年以内で設定できます。
据置期間中も利息の支払いは必要ですが、元金返済の開始を遅らせることで、中東情勢の影響が続く期間の資金繰り負担を軽減できる可能性があります。
③低い融資利率と保証料の割引を受けられる
融資利率は5年以内で年1.4%、10年以内で年1.6%です。
さらに、北海道信用保証協会の保証料率について、通常の保証料率から20%の割引が適用されます。
利息と保証料を含めた資金調達コストを抑えられる点は、この制度の大きなメリットです。
■制度を利用する際の注意点
①中東情勢との因果関係を説明する必要がある
単に売上高が減少している、または売上原価率が上昇しているだけで、自動的に制度の対象となるわけではありません。
燃料油や原材料、石油関連製品等の供給制約など、中東情勢の影響を直接的または間接的に受けていることを説明する必要があります。
②融資を受けられることが確約される制度ではない
対象要件を満たしていても、金融機関と北海道信用保証協会による融資・保証審査があります。
売上減少の状況だけでなく、既存借入、返済能力、今後の事業計画、資金使途なども審査されます。
③利用できる資金は運転資金に限られる
この制度で利用できる資金使途は運転資金です。
機械設備や建物、車両などの設備資金を調達したい場合は、ほかの北海道制度融資や日本政策金融公庫の融資制度を検討する必要があります。
④取扱期間が限られている
取扱期間は、2026年7月6日から2027年1月5日までです。
ただし、制度の取扱期間内であっても、申込手続きや審査には一定の時間がかかります。利用を検討している場合は、期限直前ではなく早めに相談しましょう。
■融資を申し込む方法
融資を希望する場合は、所定の「融資あっせん申込書」に必要書類を添付し、商工会議所または商工会へ申し込みます。
中小企業等協同組合等やその構成員企業については、北海道中小企業団体中央会への申し込みも可能です。
また、公益財団法人北海道中小企業総合支援センターの支援制度を利用する方は、同センターへの申し込みもできます。
融資は、北海道銀行、北洋銀行、道内の信用金庫・信用組合などの取扱金融機関を通じて実行されます。
■申込時に必要となる主な書類
主な必要書類は、次のとおりです。
- 決算書または確定申告書2期分
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 北海道が定める調書
2期分の決算または申告が終了していない場合は、提出可能な決算書等と直近の試算表を提出します。
また、該当する対象要件に応じて、次の調書を使用します。
- 売上高等の減少要件に該当する場合:別紙第6-2号様式
- 最近3か月の売上原価率等の上昇要件に該当する場合:別紙第6-3号様式
- 最近1か月と今後2か月の売上原価率等の上昇要件に該当する場合:別紙第6-4号様式
審査上必要な場合には、金融機関や北海道信用保証協会から、追加資料の提出を求められることがあります。
■申込前に準備しておきたい資料
制度の対象になるかを判断し、金融機関等への説明をスムーズに進めるため、次の資料を整理しておきましょう。
- 前年と当年の月別売上高が分かる資料
- 月次試算表
- 売上台帳
- 仕入台帳や原価明細
- 燃料費や原材料費の上昇が分かる請求書
- 今後の売上高や売上原価率の見込みを示す資料
- 資金繰り表
- 借入希望額の根拠が分かる資料
特に、中東情勢の影響によって売上減少や原価率上昇が生じたことを、数字と資料を用いて説明できる状態にしておくことが重要です。
■日本政策金融公庫の融資との違い
中東情勢対策特別枠は、北海道信用保証協会の保証を付け、民間金融機関を通じて融資を受ける北海道の制度融資です。
一方、日本政策金融公庫の融資は、日本政策金融公庫が直接融資を行います。
両者は融資の仕組みや審査主体が異なるため、事業者の状況によっては、どちらか一方だけでなく、双方の利用可能性を検討できる場合があります。
ただし、複数の融資を利用する場合は、借入総額と毎月の返済額が過大にならないよう、返済計画を慎重に作成する必要があります。
■専門家から見た活用のポイント
この制度の大きな特徴は、売上高が前年同期と比べて5%以上減少している段階でも、利用を検討できる点です。
資金繰りが完全に行き詰まってから融資を申し込むよりも、今後の影響を予測して早い段階で相談した方が、資金調達の選択肢を確保しやすくなります。
また、売上高が減少していない場合でも、原材料価格や燃料費の上昇によって売上原価率が増加していれば、対象となる可能性があります。
「売上が5%減少していないから利用できない」と判断せず、原価率の上昇要件も含めて確認することが重要です。
■まとめ:対象となる可能性があれば早めに相談を
北海道の「中東情勢対策特別枠」は、中東情勢に伴う燃料油や原材料、石油関連製品等の供給制約などの影響を受けている中小企業者等を対象とした制度融資です。
主な特徴は、次のとおりです。
- 最近3か月の売上高等が前年同期比5%以上減少している場合は対象となる可能性がある
- 売上原価率等が前年同期より増加している場合も対象となる可能性がある
- 融資限度額は1億円以内
- 融資期間は10年以内、据置期間は3年以内
- 融資利率は5年以内で年1.4%、10年以内で年1.6%
- 信用保証料率は通常の保証料率から20%割引
- 取扱期間は2027年1月5日まで
制度の利用には審査があり、中東情勢による影響や売上高、売上原価率の変化を資料によって説明する必要があります。
資金繰りに不安を感じている場合は、資金が不足してからではなく、早めに商工会議所・商工会、取扱金融機関または専門家へ相談しましょう。
弊社では、日本政策金融公庫の融資だけでなく、北海道の制度融資を含めた資金調達についてもご相談を承っております。
中東情勢対策特別枠の対象になるか分からない方や、申込準備に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
■制度の詳細・最新情報
本記事は、2026年7月に北海道が公表した情報をもとに作成しています。
制度の対象要件、必要書類、取扱期間などは変更される可能性があります。最新情報は、以下の北海道公式ページをご確認ください。
北海道公式ホームページ「新たな融資枠『中東情勢対策特別枠』について」
- ■ この記事の監修者
- マケットコンサルティング株式会社 代表取締役 / 税理士
- 伊東 祐生(いとう ゆうき)
2019年に起業し、自身も創業フェーズにおいてグループ全体で5000万円超の融資調達に成功する。これまでの創業融資サポートの成功率は90%を超え、数多くのスタートアップ支援を行っている。
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